禍福は糾える縄のごとし
おもしろい世界
老子は「禍には福が寄り添い、福には禍が潜む」と語った。この言葉は難しく聞こえるが、出来事が進む弁証法を言い当てている。2022 年前半の上海を例に、この道理を確かめてみよう。
研究に値する現象
2022 年前半の上海は特別な時期を経験した。多くの市民が生活の困難、物資の不足、行動制限に直面した。それでもこの逆境のなかで、後に賢明だと証明される金融判断を下した人たちがいた。
彼らの判断は三つに集約できる。住宅を売ること、人民元を米ドルに換えること、海外の身分を確保することだ。それぞれのタイミングを順に見ていこう。
タイミングを読む理性
第一は不動産の売却である。2022 年当時、上海の住宅市場はまだ高止まりしていた。そこで売却した人々は、価格が下落し始める前に現金化した。後のデータでは、多くの都市で三割前後の下落が確認された。早めに売った人は資産価値の目減りを避けられた。
第二は通貨交換だ。2022 年の人民元は比較的安定しており、ドルへの換金に有利だった。迅速に動いた投資家は、その後の人民元安による損失を免れた。同じ換金でも、いまではより高いコストがかかる。
第三は海外身分の取得である。当時は各国の制度がまだ緩く、手続きも比較的簡単だった。2022 年のうちに手続きを済ませた人は、後に強化された審査や長い待ち時間を避けることができた。
社会に見えた興味深い兆候
興味深いことに、こうした判断をした人のなかには、いわゆる「小粉紅」と呼ばれるナショナル派も少なくなかった。この点は考えるに値する。
政治的な立場と実際の金融行動は、必ずしも結び付いていない。切実な利害が目前に迫ると、人はイデオロギーではなく現実的な計算で動く。認知と行動がずれるこの現象は、人間の意思決定がどれほど複雑かを示している。
老子の知恵を現代で確かめる
2022 年の上海は、「禍福は表裏一体」という古い知恵に現代的な証拠を与えた。当時は困難と見えた状況が、ある人々にとっては財務的な優位を生み出したのだ。
この事例は、どんな出来事を評価するときも客観性と長期的な視野を保つべきだと示している。表面上の窮地には機会が潜み、表面上の安定には危機が隠れているかもしれない。
二千年以上を経ても老子の言葉が生き続けるのは、今でも有効だからだ。2022 年の上海は、その永遠の真理が現代社会で再確認された一例にすぎない。